関節症でお悩みの方の大きな味方 本田真樹著 矢澤一良 監修 文庫サイズ・48頁 まえがき —— 変形性膝関節症、リウマチ、スポーツ障害に 関節症、特に膝の関節症に対する関心が、高齢者を中心に国民の間で急速に高まっています。

これには、二つの理由が考えられます。

一つは、膝関節症は加齢や肥満などをリスクファクター(危険因子)として、膝の関節軟骨がすり減った結果生じる炎症性疾患ですが、いま、わが国では、高齢者の割合が急速に増え、膝関節症に悩む人の数もどんどん増えていることです。

もう一つは、この病気は、すぐに死につながるものではありませんが、最初、膝の痛みからスタートし、行動の自由を次第にうばい、うつを併発したりしながら、車椅子へと移行した後、寝たきりや認知症を終着駅とする、深刻な進行性の病という側面をもっているからです。

こうした悪循環を早期に断ち切らないと膝関節症は、がんやメタボリックシンドローム以上に「生活の質」を落とす危険をはらんでいます。

従来、膝関節症の治療は、薬物(非ステロイド系鎮痛・消炎剤、ヒアルロン酸注射など)による対症療法や外科手術が主流ですが、これらは副作用や身体的苦痛を伴うといった問題を抱えていました。

そこで最近になって、アメリカを中心に従来の近代医療の限界を打破し、改善をはかろうとの意図から、代替医療(補完医療)を再評価する機運が高まり、実践されるようになりました。

その結果、ハリ・灸などの伝統療法やハーブ、漢方、サプリメントなどの中から有効なものを積極的に併用し、治療効果をあげていこうという動きが日本にもおよんできたのです。

特に、膝関節症ではこの傾向が強く、コラーゲン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸などが広く利用されてきました。

そして2001年、厚生労働省の通知で、新たにMSM(メチルサルフォニルメタン)という有機イオウ化合物が食品として使用できるようになりました。

古くからイオウは、世界中で炎症性疾患や皮膚病の改善に関わってきました。

日本でもイオウ泉や硫酸塩泉の温泉は、関節炎・筋肉痛・腰痛・皮膚病に効果のあることが確かめられていて、有機イオウ化合物であるMSMの効果と多くの類似点がみられます。

MSMは、コラーゲンやグルコサミン、コンドロイチン硫酸とは、全く異なる機能をもち、すでにアメリカでは多くの効果が確認されています。

慢性の関節痛や炎症を緩和する作用のほか、血管拡張・血流増加作用、腸管ぜん動運動正常化作用、筋弛緩作用、創傷組織の修復作用、免疫システムの正常化作用、ケラチン(髪、爪、皮膚角質層)形成促進作用、そして必須ミネラルのイオウの補給源としても重要です。

さらにMSMは、自然界の動・植物中や大気中に広く存在し、「食べる安全性」も極めて高いことが種々の試験で確認されています。

先発のアメリカでは、口から摂取するサプリメント以外にも、関節症やスポーツ障害などを対象にジェル、クリーム、ローションなどの外用剤および化粧品にもMSMが広く使用され、サプリメントとの併用による効果アップも可能な素材として注目を集めています。

MSMのユニークな作用が関節症に悩む多くの方々に少しでも役立つことを心より願う次第です。

●必須ミネラル・イオウの役割 イオウは、私たちの生命維持に欠かせない必須ミネラルの1つです。

必須ミネラルとは、体の中で作り出すことができないため、絶えず日常の食事で補っていかなければならないミネラルを指します。

イオウは、カルシウム、リンに次いで人体内で3番目に多いミネラルですが、日本を始め、ほとんどの国でいまだ所要量は設定されておりません。

しかし、イオウ化合物は体にとって重要でユニークなものが多く存在します。

例えば、必須アミノ酸のメチオニン、システイン、タウリン、ペプチドのグルタチオン、アデノシルSメチオニン、ビタミンB、ビオチン、α—リポ酸、ニンニクのアリシンおよびブロッコリーのスルフォラファンなどをあげることができます。

これらはいずれも、体の働きを円滑に維持し、若さと美しさを保つうえで重要な役割を演じています。

イオウの補給源としては、メチオニンとシステインの必須アミノ酸がよく知られています。

MSMのイオウは、これら二つのアミノ酸のイオウに取り込まれることが、近年の研究で明らかになり、MSMも重要なイオウ源であることが判明しました。

●サプリや強化食品が続々登場 MSMを確実に効率よく補給するには、サプリメントを利用するのが一番です。

市販のサプリメントは、錠剤やカプセル状のものが主流となっています。

最近ではMSM入りジェル飲料やお茶など、高齢者でも利用しやすいタイプの食品が登場していますので、ぜひ利用してみるといいでしょう。

また、関節の痛みなどに対して、外用で使えるジェルやクリーム、あるいはスキンケア効果をねらった化粧品(ローション、クリームなど)も増えています。

これらの製品を自分の目的に応じて上手に組み合わせ、適量を長期にわたって利用し続けるのが、MSMの効果を得る最大のポイントといえます。

MSMは食品ですので、摂取してから関節などに十分な量がいきわたり、効果を実感するためには、少なくとも4週間くらいは必要です。

目 次 —— 第1章 関節に効く「MSM」    ・体内にも存在する天然成分    ・イオウの地球規模での大循環    ・有効性を探る研究の経緯    ・関節対応サプリは高齢化社会の福音 第2章 変形性関節症に最適    ・変形性関節症ってどんな病気?    ・MSMで「痛みがやわらいだ」    ・慢性の痛みを緩和する    ・安心して摂取できる「痛み止め」    〈コラム〉変形性膝関節症に関するQ&A 第3章 こんな症状にもMSM    ・慢性関節リウマチにも有効    ・アレルギー性鼻炎にも効果が    ・アスリートの関節や筋肉も守る    ・女性のキレイを強力サポート    ・こんな症状にもMSMが役立つ    〈コラム〉関節痛を防ぐ生活上のポイント 第4章 安全で効果的な利用法    ・MSMの有効な補給源    ・食品としての安全性について    ・MSMと相性のいいサプリメント 【ハート出版ふるさと文庫】天然の沈痛食品MSMで関節元気

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